組合員活動報告
7/23 第25回総代会記念 堤未果さん講演会 「食糧危機と日本の私たち~食を選ぶと未来が変わる~」
【報告】主催:理事会
新型コロナウイルス感染が拡大する中、会場はほぼ満席、オンラインを含め約200名という多くの方が、堤さんの熱いメッセージに真剣に耳を傾けました。冒頭で堤さんは、スリランカの農民代表の方の言葉を紹介してくれました。「政治家なしでも世界は回るが、農民なしでは皆滅ぶ」。最近ニュースになったスリランカが破綻した原因の一つが、実は政府が生産者を無視した農業政策を一方的に押しつけたことだっだという話は驚きでした。
食料自給率が低く輸入依存であること、政府が生産者や消費者の声を聞かないこと、ウクライナ紛争と通貨安で海外からものが入らなくなっていることなど、まるで日本かと思うほど、両国には共通点が多い事を知って恐ろしくなりました。スリランカの二の舞にならないよう、日本は今こそ食・農政を考えていかなければなりません。
世界の潮流は有機農業推進です。日本でも農水省が、有機農業を現在の50倍にすることを目標に掲げた「みどりの食糧システム戦略」を出しました。ただここで注意しなければならない事は、「誰がどんな風に進めていくのか」だと堤さんは話されました。日本を含む多くの政府が、農業の大規模化を推進し、有機農業より培養肉やゲノム編集食品に予算をかけ、食糧生産の源であるタネは、少数のグローバル企業が独占競争の真っ最中だからです。ここで、堤さんは、強く訴えられました。「オーガニックというのは、単なる食べ物の種類ではありません、循環を尊ぶ生き方・価値観の話なのです」。例えば安いからとオーガニック食品を海外から輸入すればいいという考え方は危険、オーガニックの基準は国によって全く違うので、値段ではなくどうやって作られたのかをみる事が大事ですと。日本がスリランカと同じ失敗をしないためには、コープ自然派が長年尽力してきた「小規模な有機生産者さんを尊重し、顔が見える距離だからこそ安心して売買できる食の循環システムを作る」という、まさに、この思想が今の日本に、必要なのですと。
種子法が廃止され、種苗法も改正された日本には、いま、登録品種以外のタネを守る法律がありません。そこで堤さんの夫の川田龍平議員が、「タネを公共資産」として守る新しい法律「ローカルフード法(以下LF法)案」を作りました。今各党の議員に呼びかけて、秋の国会で成立を目指すこの「LF法」には、在来のタネを国の「公共資産」として守る事、慣行農家が有機農業へ移行するための技術と資金の提供、生産された有機食材を学校給食や介護施設などに搬入する予算などが入っています。
これとセットになるのが、全国各地方で作る「ローカルフード条例」です。LF条例とは、地域の中で生産者、市民、学校、栄養士さん等、地域住民で作るローカルフード委員会や、地域の有機農家と学校をつないだ有機給食の無償化、在来のタネを守る研究や教育「食の循環システム」を構築する地域独自の条例です。LF法とLF条例が1セットになると、全国各地に「循環型の食システム」ができるのです。有機を拡げてきたコープ自然派の方向とも重なるL Fプロジェクト。