組合員活動報告

2020/9/5 オンライン講演会「たねは誰のもの?~食卓の種を知る~」

2020.10.6

■理事会(遺伝子組み換え食品ストップネット担当)

秋の臨時国会を前に種苗法の改正について考えるため、研究者であり有機農家でもある松平尚也さんを講師に招いて学習会を行いました。土曜日午後のオンラインイベントで、50名以上の方にご参加いただきました。

松平さんは、はじめに、種や食料を海外からの輸入に頼る日本にとって、コロナ以降の種や農業についての議論が今こそ必要だと訴えられました。

種苗法とは種や苗の流通ルールと育種家の権利(知的財産権)を定めた法律です。今回の改正では登録品種の農家の自家採種禁止、登録品種を利用する場合の許諾性を導入しようとしています。目的は海外流出の防止ですが、現地での品種登録が根本的な対策となるはずです。また、国際社会での知的財産権や輸出権益を守る(特にアジア)というねらいもあるようです。登録品種の場合、育種家の権利は守られますが、農家の権利は制限されます。松平さんは農家と十分な議論を交わさずに改正案が決められたこと、知的財産権は守るが、種子と農業の多様性や持続可能な農業が失われてしまうことが問題だとお話しされました。(ちなみに今回の改正で、家庭菜園への影響はありません)

 近年私たちの食生活の変化と共に、求められる野菜や種子も変化し、加工や業務用に適した野菜、価格の安い野菜が求められ農業現場で作られています。農家によって種が守られ、農村文化として受け継がれてきた歴史があることを私たちはあまり意識していません。もっと伝統野菜を守る取り組みが必要です。松平さんは「種子を考えるとき、種をとりまく環境を考える必要がある。私たちの食卓と毎日の食べ方が種子の未来を決定することを意識し、未来の種子と食卓を豊かにしていくために種子の歴史を知り、制度や構造のことも考えていくことが大事ではないか」とお話されました。

今回のお話を聞いて、持続性と多様性は種子にも当てはまることだと改めて感じました。大量生産・大量消費社会が見直され、持続可能な世界のためにできることを考えていかなければなりません。農業も同様です。私たちの日々の食べ方が農家や農薬会社、種苗企業、食産業など、種子をとりまく環境に影響を与えます。未来の食卓をどのようなものにしたいか考え、日々の食べ方を選び、行動していくことが大切だと感じました。

講演会の動画を期間限定で公開致します。(10月11日(日)~11月30日(月))

URL:https://youtu.be/TizJgQrbb3c